「桜河のバーカっ!!」
悔しかったから、思いっきり叫んでやった。
私の雄叫びに振り返った桜河は、こちらを見てベッと舌を出す。
…もう腹立った!
桜河の後を追って、私も荷台から飛び降りる。
…が、しかし…
「…わぁっ!?」
荷台の段差で足を引っかけて、そのまま前に倒れていく体。
車体の高さから、徐々に地面が迫ってくる。
…あぁ、このまま顔面から落ちたら、鼻は確実に骨折だな…。
諦めて、目をギュッと瞑ったその時…
───ドサッ…
…あれ?…痛くない…
落ちたはずなのに、全く痛みを感じない。
頬にはガッチリとした胸板、私の腰をぎゅっと抱き締める力強い腕。
…さすが私の王子様……



