「…ねぇ、桜河。
光雄じいちゃんとヨシ子ばあちゃんが、桜河のことなんて言ってたか知ってる?」
「はぁ?なんだよ、急に。
…悪口でも言ってたか?」
冗談交じりにそう言って笑う。
…違う、そんなんじゃない。
中学生の時、光雄じいちゃん達が私に話してくれたことがある。
「宝物なんだってさ。」
愛する一人娘が産んだ宝物。
誰よりも桜河のことが大切だって言ってた。
…私はその言葉を聞いて、何故か涙が止まらなかったのを覚えている。
「愛されてんね、あんた。」
光雄じいちゃんとヨシ子ばあちゃん…
それに、柊吾も咲花も葵斗も…
…もちろん私も。
気づいて欲しかった。
時々、ふと悲しげに遠くを見つめる桜河。
そんな顔しないで。
みんな桜河のこと大好きなんだよ?



