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「うわ…すごい人。」




「もう空いてると思ってたけど…。」









試合会場の最寄り駅は、試合の観戦客達で溢れ返っていた。



試合が終わってから結構時間も経ったし、そろそろ人も流れてると思ったけど…











「香純。

…はぐれるといけないから。」










そう言って、私の手をギュッと握った柊吾。





…え!?

えーえーえーー!



突然の彼の大胆な行動に、私の脳内は大パニック。







手…繋いでる…。

なんかこれって、恋人みたい…。







繋がれた手をじっと見つめて、柊吾の優しさに一人で感動…

…なんてする暇もなく、電車がきたと同時に人の流れにどんどんと押される。









───『扉が閉まります。』









人でいっぱいになった電車の中。


後ろには壁、目の前には柊吾の胸板。

電車が揺れる度に、密着する身体。




相変わらず、片手は彼と繋がれていて…

柊吾はもう片方の手で、私の肩を抱く。





こんなにくっついたら、 心臓の音聞こえちゃうかな…?


静まれ心臓…



電車が空くまでの30分間、ただひたすらに心の中でそう願った。