「いくら相手が泣いていたとしても、あの距離感はさすがに…良い気はしない。」






「…そうだよな。ごめん。」













二人の間に気まずい沈黙が流れる。



まるで、別れ話をする恋人達のような…

そんな空気感だった。






…私も少し落ち着こう。

柊吾を責めたいわけじゃない。





私は、一度大きく深呼吸をする。












「…もう一つだけ、聞いていい?」





「うん。」






「桃奈さんと…その…

体の関係を持ったことは?」










あの海での桃奈さんの意味深な発言。






〝でも彼女さん、大変でしょ?〟


〝 柊くんって奥手そうに見えて…
──────キスも、夜も激しいし♡〟






あの時は聞けなかった。

だけど、ずっと頭の中で引っかかっていて…






真実を知ったからって、今更どうにかなるわけでもないけど…

確かめない限り、たぶん私はずっと柊吾のことを疑い続けてしまう。