「お待たせしましたー。

アイスコーヒーといちごみるくラテです。」










この町で唯一のコーヒーショップ。

ドリンクを受け取り、二人がけの席に彼と向かい合って座る。










「ごめんね、突然呼び出して。」





「いや…会ってくれてありがとう。」











少し気まずそうに俯きながら、アイスコーヒーをストローでかき混ぜる柊吾。


たった数日間会話をしなかっただけで、何だか久しぶりに会った気分だ。










「…桃奈の話…だよな。」








ぽつりとそう呟く柊吾に、私は大きく首を縦に振った。








「そうだよ。

…もう、〝理解ある彼女〟を演じるのはやめようと思って。」








私はそんなに出来た人間じゃない。

彼女の存在を気にしないなんて、私には無理だった。