君のとなりで恋をします。─上─









私は目の前が真っ暗になって、不意にあの海岸での桃奈さんの言葉が頭を過る。








〝でも彼女さん、大変でしょ?〟



〝 柊くんって奥手そうに見えて…
──────キスも、夜も激しいし♡〟











やだ…やだやだ。

気持ち悪い…。






なんで今、あの言葉を思い出すの?

柊吾のことを信じるって決めたじゃん…












「…成宮さん、顔色悪い…。

大丈夫っすか?」










心配してくれる市原くんに、私は今できる精一杯の笑顔を作って見せた。










「ん?なんでもないよ!




…ごめんね、柊吾。

スコアボード取りに来たんだ!」










本当は今すぐにでもここを離れたかった。



だけど、もう少しで練習も始まる。

…準備しないと。