君のとなりで恋をします。─上─










「あ、成宮さん。

どうでしたか?」









浮かれまくりの私の様子で察したのか、市原くんは笑顔でこちらに駆け寄ってくる。









「あっさり許して貰えたよ!

今から早速練習の準備始めます!」







「あ、俺も何か手伝いますよ。」







「いーのいーの!

市原くんはギリギリまで休憩してて!」











そう笑って、私は体育館倉庫の扉をガラリと開ける。


しかしそこで目にしたのは、私にとってはあまりにも残酷な場面だった。












「──────柊くん…」




「っ…」










薄暗い体育館倉庫で抱き合う二人の男女。

いや…正確には、女が男に抱き着いているような形。




…柊吾と桃奈さん…。












「…香純!?」











私の顔を見るなり、柊吾は慌てて桃奈さんを引き剥がす。




何それ…余計に怪しいんだけど。

さっきまで、抱き着く彼女の頭を優しく撫でてたくせに…



そもそも、なんでこんな扉も締め切られた密室に二人きりでいるの…?