「もう、やだ〜……
市原くん、私のこと泣かせようとしてる?」
「え、いや!そんなつもりじゃ…」
泣き真似をする私に、分かりやすく慌てふためく彼が面白くて、思わず笑みがこぼれた。
「あははっ…冗談だよ。」
「うわー…焦った…
俺の事からかってます?」
「ごめんごめん、からかってないです。
ありがとう、市原くん。」
今日は彼の言葉にかなり元気づけられた。
バスケ界のトップスターも、実際に話してみるとただの同い年の男の子。
「ところで…市原くんはなんで敬語なの?
一応同学年なんだし、タメ口で良くない?」
「いやいや。
成宮さんは俺の命の恩人っスから。
…タメ口なんて滅相もないです。」
「あはは。
トップスターが何言ってんのさ。」
そうやって笑い合いながら、彼と共に体育館へと戻った。



