「ちょ…桜河!」










慌てて追いかけて彼の腕を掴む。

しかしそれは、すぐさま振り払われて…










「…放せよ!」






「っ────…」











その時の桜河の悲痛な表情に、私はそれ以上何も言えなかった。





…悲しみ。孤独。絶望。憎しみ。



怯んでしまうほどの険しい表情。





だけど…

今にも壊れてしまいそうなほど脆くて…









どうしよう…。

完全に怒らせた…。






ただ、恋人への礼儀として、けじめをつけたかっただけなのに…





私、何を間違えた…?