階段を上がって突き当たりの部屋の扉を勢いよく開け、ヤツの上に飛び乗った。










「……いっ…てぇ…………」







「起きろ桜河!

あと10分で支度しないと遅刻だよ!」










明るい茶色の髪を眠そうにかきあげるこの目つきの悪いイケメンは、影山桜河(カゲヤマ オウガ)。

ウチの隣の和菓子屋の孫で、わけあって今は祖父母と暮らしている。










「別にいいだろ…遅刻したって…。」









もう一度布団に潜り込もうとする桜河から、私は奪うように布団を引っ張る。









「いいわけないでしょ!?

あんた、このままじゃ留年だよ!?」









私は桜河のじいちゃんばあちゃんに頼まれてるんだから!

〝桜河のことをよろしくね〟って。



桜河の布団を引き剥がし、壁に掛かった制服を渡す。