君のとなりで恋をします。─上─













「あ、体調は大丈夫そうですか?」





「はい、だいぶ良くなりました。」












よかった。

顔色もさっきより随分楽そう。











「ありがとうございました。


…それから、すみませんでした。

俺のせいで引き止めちゃって…」












彼は申し訳なさそうに謝った。



正直、高校1年生から日本代表として活躍している選手なんて、高飛車で自分の才能を鼻にかけたような人を想像していた。





でも彼は全く違って……






礼儀正しくて、謙虚。

見るからに真面目そうな好青年だった。











「じゃあ…私、そろそろ行きます。

水分補給はきちんとしてくださいね?」







「あ、あの…ハンカチ……」









ゆっくりと立ち上がる私を、彼は腕を掴んで引き止める。









「それ、あげます。

…では、またあとで。」










私はそれだけ言って、一礼してからその場を去った。










「またあとで…?」






不思議そうに呟く彼の声が、後ろから聞こえたようか気がした。