「もう平気だよ。」













桜河が話を聞いてくれて、心も随分軽くなったし…




それに……













「柊吾を信じる。


……その代わり…

裏切ったらタダじゃ置かないからね?」












冗談っぽくそう笑うと、柊吾は少し複雑そうな表情で笑った。














「ありがとう…。」












彼はぎこちなく、まるで私の存在を確かめる
ようにそっと抱き締める。



私も、そんな彼の背中に腕を回した。










柊吾にとって桃奈さんはただの親戚。





昼間のあれは、桃奈さんのただの冗談で…

柊吾が弁明しようとしないのは、彼女の複雑な事情を簡単には話せないから。








頭の中で何度も何度も、自分にそう言い聞かせた。







大好きな人の温もりに包まれている今、すごく幸せなはずなのに……

何故か心がザワついていた。