「香純。何してんの?

早く入ろう。」






「あ…ごめん、ぼーっとしてた。」






「ははっ、またキャプテンに怒られるよ?」










そう言って笑った柊吾に胸が高鳴る。



本当は、選手は練習が始まる5時までは体育館に来なくていいのに…。

毎日毎日、練習前にモップ掛けをする私に合わせてくれる柊吾。





物心着いた時にはそばにいて、ずっとずっと好きだった柊吾。


たしかに柊吾はみんなに優しいけど…

ここまでしてくれるのは、少しは私のことを
特別だって思ってくれてるからって…



…期待してもいいのかな…?







いつかこの気持ちを伝えられたらいいな、なんて思うけど…

…この関係が崩れてしまうのが怖い。










「柊吾。」




「ん?」




「…何でもない!」





「ははっ、何それ。」









今はただ、隣でこの笑顔を見てられるだけで十分幸せです。

そんな風に逃げ腰になってしまえ自分に、ため息をついた。