たった数秒のことだった。
でも俺には時が止まったように感じられて…
そっと唇を離して、彼女の様子を伺う。
少しの間硬直した彼女だったが、しばらくして状況を理解したのか、茹でダコのように真っ赤な顔を両手で覆った。
「…き、き、きっ……!?」
「ごめん、フライングした。」
想像以上に動揺する彼女に、一応謝っておくことにした。
俺に言わせれば、可愛すぎる香純も悪いけど…
「本当は今度の試合に勝つまで我慢するつもりだったんだけど…
ごめん、どうしても今したくなった。
…嫌だった?」
俺がそう問うと、彼女は大きく首を左右に振る。



