「ほら、早く勉強しよう。」
腑に落ちない様子の私を軽く撫でて、部屋の
中心に置かれたテーブルの傍に座り込む。
彼が座ったのはベッドとテーブルの間で、私もその隣に座り込む。
6畳の部屋には、そんなに大きなテーブルが
置けるはずもなく……
二人の距離は必然的に近くなる。
少し動けば触れてしまいそうな肩。
背中にはシングルベッドのスプリングを感じる。
再び現れた変な妄想を振り払うように、頭を左右に振った。
煩悩退散!
勉強に集中!数学やばい!
そこからは、意識を柊吾に向けないためにも
必死で問題を解き続けた。



