冴木先輩は、私に気付くと
急いでこっちに向かってきてくれた。
「どうしたの?」
「あっ・・・あの・・・」
本当に誘ってもいいのか不安になりながらも
頑張って口を開く。
「あ・・・の、一緒に帰りたい・・・ですっ」
全身の血が頭に回るような恥ずかしさで
涙が出てきて、目が潤んでしまう。
「っ・・・やば」
「・・・?」
先輩、顔おさえてどうしたんだろう・・・?
や、やっぱりダメだったかな・・・?
不安に思っているのを感じとったのか
先輩は、私の耳に顔を近付けると
「俺が先に誘うつもりだったんだけど」
と、私にしか聞こえないような声で
拗ねたように言った。

