幕末パラレル物語

それこそ何が引き金となるのか分からないのに…斎藤さんについてきてもらうべきだった。


…あれ、というか、私どうして小太刀すら預けて…。


「ここだ」


「え?」


自分の馬鹿さ加減を悔いているうちに、目的地に着いたようだ。でも…。


「ここは?」


「見て分からんのか。寺子屋だ」


「いえ、それはさすがに知っているけれど」


…まさか、寺子屋からもお金を取り立てているとか?


「もうすぐ子供らが出てくる。適当に構ってやれ」


「…はい?」


一体何を言っているのだろう。


訳がわからず芹沢さんの顔を見るが、冗談を言っている雰囲気ではない。と、


「あっ、芹沢さんだ!」
「その人だれー?」
「今日は何教えてくれるの?」


幼い声が聞こえる。6、7人の子ども。
そう言いつつも、自由に辺りを駆け回っている。


「いつもこうだ。あまね、チビどもを落ち着かせろ」


「えっと…」


「早くしろ」


少し不機嫌になる芹沢さんを見て、私は慌てて走り出した。