幕末パラレル物語

NO side


「…冗談じゃねぇ」


去っていく2人を見て、斎藤は額に手を当てうなだれた。


こんなことが知られれば、あの副長になんと説教されるか。


芹沢のことも、土方のことも、考えるだけで斎藤はうんざりだった。


小さく息をこぼす。


去り際に天李がこっそり預けてきた小太刀を、懐にしまう。


ーー次に顔を上げた時、そこに含まれていたのは微かな哀れみだった。


「…もう、最後だろうしな」


斎藤は見えなくなる背中を思い、2人が消えていった人混みを見つめていた。


ただ静かに、見つめていた。