そしてこうさせる夏も悪い。本当に暑い。


そういうわけで暑さも相まって、私は少しずつ苛立ちを募らせていた。


奥沢さんに、ではなくて。


奥沢さんを使うあの人たちに。


だから、朝餉を作るために、まだ眠っている平助を起こさないように部屋を出て、


「あ…天李さん。おはようございます」


柔らかく微笑むその顔を見て、もう限界だった。