「…」


……先輩、あの時なんて言おうとしたんだろ……


帰宅してすぐお風呂に向かった私

浴槽に身をしずめたまま
鴻鳴先輩が触れた後をなぞるように

自分のほっぺたに手を置いた



『……三崎、俺さ……』



……期待した


好きだって言葉を




だって、あんな顔で

あんな声で

私を見て、呼ぶんだもん



今日の鴻鳴先輩は

いつもの鴻鳴先輩と違った


なんていうか……


今日はいつもより近い感じがした


照れたり、焦ったり……
いつもは見ない一面をたくさん見たからかな


等身大の先輩を見た気がした




………私が勝手に先輩を大人っぽいって思ってただけで


実際は、私とそんなに変わらないのかもしれない