確か前にネットで見た水城さんのプロフィールに三人の兄弟がいて、両親が他界してから彼が面倒を見ていたと書いてあったのを思い出した。

水城さんも、きっと苦労してきたんだろうな……。

そんな苦労続きの昔が脳裏によぎったように、彼の口調はどことなくしみじみとしていた。

「俺の両親は事故ですでに亡くなっていてね、叔父が俺たちを引き取ってくれたんだ。ずいぶん俺も弟たちが独立するまで世話を焼いたけど、俺が自分の好きな道へ進めたのは弟たちが叔父の会社を引き継いでくれたおかげなんだ」

「そうだったんですか……」

水城さんが一代でパリメラを大手企業にまで成長させた理由がわかったような気がした。

弟さんたちの気持ちを無駄にしないために、必死で頑張ってきたんだね。

そう思うと、胸がキュッとした。

「そういえば、妹さんからなにか連絡なかった? 多分、謝恩会のこと心配してるんじゃないか?」

「え、ええ。メールと着信が何件か入ってましたけど、でも……私、水城さんとのことをなんて言ったらいいか……」

「そうだな……」

水城さんはしばらく天井を眺めていたけれど、すぐに私に向き直ってにこりと笑った。

「君のことだ、妹さんに黙ってるなんてできない、だろう?」

「……はい」

「だったら正直に話せばいい」