――なんだって? 私の会社を継がないとは、一体どういうことだ!
――何のためにお前を死んだ兄から引き取って、ここまで面倒見てきたと思ってる!
ふと、脳裏をよぎった思い出したくもない過去の記憶。
生前、俺の両親はそこそこ大きな会社を経営していた。
当時、俺がまだ高校生だったある日のこと、夫婦で久しぶりの休日に訪れた旅行先で事故に遭い、突然、両親は他界した。
失意の中、まだ小学生だった弟三人の面倒をなんとかアルバイトで支えていたが、両親の会社に借金があることがわかって途方に暮れていた時、父の弟である叔父夫婦が俺たち兄弟を養子として迎え入れてくれた。子どもに恵まれなかった叔父もまた、大手企業の会社を運営している社長で、両親が残した借金をすべて肩代わりしてくれた。
叔父は優しかったが、子どもを産めなかった腹いせに養母からは虐げられる毎日で、ある日食事を与えられなかった弟たちを見兼ねてこっそりカレーを作ったことがあった。
――兄ちゃんの作るカレーは世界一美味しい!
――ねぇ、兄ちゃん、料理人になりなよ。
満足に具も入っていないただのカレーだというのに弟たちにそう言われて以来、俺は自分の料理を人に食べてもらう喜びに目覚めてしまった。
――何のためにお前を死んだ兄から引き取って、ここまで面倒見てきたと思ってる!
ふと、脳裏をよぎった思い出したくもない過去の記憶。
生前、俺の両親はそこそこ大きな会社を経営していた。
当時、俺がまだ高校生だったある日のこと、夫婦で久しぶりの休日に訪れた旅行先で事故に遭い、突然、両親は他界した。
失意の中、まだ小学生だった弟三人の面倒をなんとかアルバイトで支えていたが、両親の会社に借金があることがわかって途方に暮れていた時、父の弟である叔父夫婦が俺たち兄弟を養子として迎え入れてくれた。子どもに恵まれなかった叔父もまた、大手企業の会社を運営している社長で、両親が残した借金をすべて肩代わりしてくれた。
叔父は優しかったが、子どもを産めなかった腹いせに養母からは虐げられる毎日で、ある日食事を与えられなかった弟たちを見兼ねてこっそりカレーを作ったことがあった。
――兄ちゃんの作るカレーは世界一美味しい!
――ねぇ、兄ちゃん、料理人になりなよ。
満足に具も入っていないただのカレーだというのに弟たちにそう言われて以来、俺は自分の料理を人に食べてもらう喜びに目覚めてしまった。