かけがえのないものに、代わりなんてない

「え、どこで知り合った?
どんな関係?
黒川先輩って普段どんな感じ?」


麻衣が私を質問攻めにする。



「えっと……お、お母さん同士が仲良くて。
小さい頃から仲良いよ」


もちろん嘘だ。
だけどしょうがない。


「小さい時からクールだった?
雅の前でもあんな感じなの?」

心なしか、麻衣の鼻息が荒い。



「麻衣、落ち着いてよ」


「落ち着けるわけないでしょっ!
親友と学校一のイケメンがまさか、幼なじみだったなんてぇ!」

「黒川先輩どんな子供だったのよぉ!」



麻衣は天を仰いで叫ぶ。







黒川先輩……ごめんなさい!

私は心の中で呟いた。


「いつもクールだけど優しいところもあるよ。
ち、小さい時の先輩は―――」




「随分と面白いこと言ってんじゃん」


後ろから声がして慌てて振り向くと、いつ来たのか、黒川先輩が本棚にもたれ掛かっていた。