かけがえのないものに、代わりなんてない

「ちょっと雅、本見つかった?」


顔を真っ赤にして走って来た私に、麻衣が尋ねる。


「へ?あぁ見つかってないよ」


麻衣は大きくため息をついた。



「今まで何してたの?」

「し、知り合いがいたからちょっと……」


いくら麻衣でも、黒川先輩と話してたってことは言えない…………それなのに

「えーー!雅、黒川先輩と知り合いなの?」


―――――バレた。



生憎、図書室にいるのは私たち二人と司書さん、そして黒川先輩だけ。


もうこれは崖っぷちだ……



「そうだよ。知り合いなの」


私は腹を括った。