かけがえのないものに、代わりなんてない

「雅ごめんな」

「な、何がですか?」
突然の言葉に驚く。


「いや、俺、昨日お前にキツく当たったし、屋上とか保健室でもほら…………な?」



「そんなの全然!」

だって黒川先輩だよ?
学校一のイケメンだし。私のシチュエーション、譲ってほしい女子、何万人もいるはずだし。




「まぁ、でもお前本当にサキに似てるんだよなぁ」

黒川先輩は私の目を見ながら言う。


「目も似てるし、笑ったらふにゃってなるとことか、髪が微妙に天パだったりするとことか………いや、お前はクセ毛?
まぁ俺でも後ろ姿間違えるわ」







そう言った先輩は、私の頭の上に手を乗せた。








「なんかお前見てたら幸せになる……」





またまたまた、私の顔が熱を持つ。

なんでこの人といると、こんなにドキドキするんだ!
この人は、なんでこんなにドキドキさせるんだ!


「しっ、失礼します!」


本棚に向かって、超特急で走った。