体育館に向かいながら、麻衣が喋る。


「雅、いつもはウザいくらいに強気でうるさいのに……」

「はぁ?ウザいは余計だわ」


大きな声を出しながらも、足は止めない。



「今日元気ないよね?」

「……!」

さすが麻衣。鋭い!
だけど、イケメン先輩を思い出していました!とは口を裂かれても、喉を引きちぎられても、絶対に言えない!!



「熱でもあんじゃないのー!?」

そう言いながら、麻衣は私のおでこを触ってくる。



「うわっ!熱っ!」

麻衣は手をヒラヒラさせて言う。


そんなことないでしょ。
私、通常運転だし。
でも……

「なんかフラフラするような気が……」


「ほらー!
やっぱり熱あるんだって」

「まぁ、大丈夫っしょ!」


私は走り出す。

ほら、元気!
大丈夫大丈夫!