かけがえのないものに、代わりなんてない

「黒川先輩がクールって言われるようになったのも、それが原因…………なんですね」


「うん。そこから心を閉ざして…………
颯が勉強できるようになったのは、サキちゃんが行きたがってた、この高校に入るため」






先輩は、そんなにサキさんのことが好きだったんだ。
大好きで大好きで大好きで大好きで。



悲しすぎる。悲しすぎると思う。

だけどそれと同じくらい、サキさんは幸せだったのだろうと思う。



こんなに愛してくれる人がそばにいて。











「もしかして、雅ちゃん泣いてる?」


薺先輩の声にハッと顔を上げると、先輩の顔が滲んで見えて。

「あ、大丈夫です」


私は目をゴシゴシこすった。