かけがえのないものに、代わりなんてない

「それがね。雅ちゃん」

悲しそうに呟く薺先輩。


もしかして、告白失敗したの?











「…………死んじゃったんだ。サキちゃん」



息が………………止まった。






「ど、どうして!」

「不整脈…………だったみたい。
合宿のちょうど一週間前だったかな。あまりにも突然だったから驚いて」



淡々と話す薺先輩の声が、少し揺れた。





「そんな……」

「私もすごく悲しかった。
だけどさ、辛かったのはさ、颯の方だと思うんだよね」





あぁ……そうか………………


「黒川先輩は、ずっと後悔してるんですね」

「そう……だよね」

「サキさんに想いを伝えておけばよかった。
ちょっとでも早く、想いを伝えればよかった……って」


悲しすぎる。

膝の上で、握りしめた拳がワナワナ震える。
目の前に広がる砂が、じわりと滲んだ。