かけがえのないものに、代わりなんてない

考えたままを薺先輩に伝えた。


「そっか……世間の共通認識ってところだね」



意味深な頷き方をする先輩を、怪訝に思う。


「あの、」

「颯はね。皆が思ってるような人じゃないよ」

「……え」

「颯はさ、明るくてやんちゃで、勉強なんて専らダメ。もとはそんな人だったの」




黒川先輩が、やんちゃ……?

クールで、笑ったところを見た人は誰もいないと言われる、あの先輩が?




「じゃあ、な……」

「じゃあなんで?って思うよね。
じゃあなんで、今はあんなにクールなの?って」



薺先輩の言葉に、ゆっくり頷く。




「私と颯が出会ったのは、小一の時。
たまたま一番家が近くて、よく登下校が一緒になった」