かけがえのないものに、代わりなんてない

裏の公園…………

この高校の裏にある、小さな空き地のことだ。


駅とは逆方向にあり、人通りも少ないから、内緒話にはもってこいの場所。



噂には聞いたことがあったけど、実際に行くのは初めてだ。



「先輩っ」

「ん?」


振り返った先輩のショートカットがふわりと揺れる。


「先輩は裏の公園、よく行くんですか?」

「たまにね。
友達の恋バナ聞く時に行くかな」


恋バナか……

カッコいい先輩から、“恋”なんて言葉が出てくると、なぜか私までドキドキしてくる。


「裏の公園、いいとこだよ。
まぁベンチ以外何も無いんだけど」

「そ、そうなんですね」



他愛のない話をしながら少し歩くと、小さな小さな空き地が、目の前に見えてきた。