かけがえのないものに、代わりなんてない

「いいなー。
女子から人気とかカッコいいとか、憧れる」

「あぁね。雅、あんまり女子から憧れられる顔じゃないもんね」

「ちょっとー!それ人が言うことじゃなーい!」


「ごめんごめん」


麻衣が手を合わせる。




「私が言いたかったのは、そういうことじゃなくて」

そこで麻衣がニヤリと笑った。








「雅は、男子から好かれるタイプの顔じゃん」

「っ!」

「まぁ、女子から嫉妬されやすい顔ではあるけど」





男子から好かれる顔………!?

「何言ってんの?
私、そんなの言われたことないよ?」

「え、一回も?」

「うん、一回も」

「告白されたことは?」

「ない」

「一回も?」

「うん、一回も」

「信じられなぁい!」

麻衣は思いっきり机を叩く。
近くにいた何人かの生徒が、私たちを振り向いた。