かけがえのないものに、代わりなんてない





午後の授業をぼーっと過ごしていると、あっという間に放課後。

「麻衣ごめん。
先帰ってて」

「どうしたの?」

「薺先輩って人に会いに行くの」

「薺先輩か…………」


そう麻衣が考え込んだ。
天井を見て、パチパチ瞬きをしている。


「あ、もしかして岩井先輩?」


思いついたように麻衣が言った。



「なんで知ってんの?」

「いや、岩井先輩有名だよ?
特に女子から人気だし」



私は納得した。


背がスラリと高くて、少しくせっ毛のショートカット。
だけど二重の目はぱっちりと大きい。



あんなにカッコ可愛いんだもん。
女子ならきっとメロメロになる。