かけがえのないものに、代わりなんてない

この場に残されたのは、私と黒川先輩の二人。

気まずい空気が流れる。



「あ、あの……!」

「ま、そういうこと」


一方的に話を終わらせた先輩は、ポンと私の頭に手を置いた。


「っ、」

「じゃあな」


去っていく先輩を見ながら、私は頬に手を当てる。

熱い……



なんだか不思議な気分になって、慌てて教室に走った。