かけがえのないものに、代わりなんてない

え?
サキさんって人と、私が似てるの?



「だろ?薺。
だから、俺はサキと間違えて抱きついたんだよ」



そんな理由があったんだ…………


「でも颯、冷静になりな?
サキちゃんはもういないんだよ」

「んなこと俺だってわかってるよ」




サキチャンハモウイナイ
サキチャンハモウイナイ
サキチャンハモウイナイ


サキさんって、もういなくなった人なの?

その人と私が似てるの?

どういうこと?

「あ、あの!
サキさんって誰ですか?
もういないってどういうことですか!?」



私は、思ったままを二人にぶつけた。


「……あちゃー」と、薺先輩が静かにこぼす。


「雅ちゃん…だっけ?
私から教えるから、放課後二年三組に来て。ね?」

「はい…」


私の返事を見届けると、薺先輩は颯爽と行ってしまった。