かけがえのないものに、代わりなんてない

イライラして、黒川先輩が口を開く。


「お前、何ストーカーしてんだよ」

「ストーカーとは人聞きの悪い!
ねぇ?」

そう言った薺先輩と目が合い、慌ててコクコクと頷く。



「私は、颯があんなに焦るの珍しいから、心配して付いてきたの!」


そしてまた私の方を向く。

「私、岩井(いわい)(なずな)ね。
颯の幼なじみなの。よろしく」

「あ、山岡雅です。
よろしくお願いします」

そして、薺先輩のお説教が始まった。


「颯ー!あんたいくらサキちゃんの事があったって、可愛い後輩に抱きつくとは!
このセクハラ!!」


「薺には関係ないだろ」


「あるよ!……それにしても」

二人して私を振り返る。




「この子ほんっとにサキちゃんに似てるね」