かけがえのないものに、代わりなんてない

「先輩、今日保健室にいましたよね?」

「あぁ……なんでお前が知って…!?」


先輩の顔が、急に赤くなる。

「もしかして、俺……」

「はい、そのもしかしてです」


私の顔まで、熱を持ってきた。



それでも続けなきゃ。


「だから!
教えてください。サキさんのこと」


「ぁあああ!」
先輩は頭をぐるぐるに掻き回した。

「…………わかったよ」





「待って!」
非常階段の陰から、突然女の人が飛び出てきた。




「な、(なずな)?」

その人は、さっき先輩の教室にいた、カッコかわいい系のお姉さんだった。