かけがえのないものに、代わりなんてない

「な、何の用?」


「あの……サキさんのことなんですけど……
うえっ!?」



黒川先輩が、すごい力で私の口を塞いできた。


「ひょっひょー!
はふへへー!」



思わず大声で叫ぶ私に、クラス中の視線が集まる。

そんな状況を察したのか、先輩は、私を強引に校舎裏まで連れてった。


「おいっ!お前……」


「な、なんですか?」

思わず私も、強気で先輩を見返す。



「あの時のことは忘れろって言っただろ……」

「あの時ー?」

「と、とぼけるな!」


先輩が私を睨む。


「そ、その……俺が、お前に抱きついたときのことっ!」

「あーね。
あれは忘れましたよ。ちゃーんと」


「は?だったら用無いだろ?
俺帰るわ」

そう言い、私に背を向けた先輩に
「保健室っ」
私は叫ぶ。