かけがえのないものに、代わりなんてない








「ギャー!
雅、だいじょーぶ?」


教室に入った瞬間、麻衣が抱きついてくる。



あれ、なんかデジャブ……

その違和感の理由は、すぐにわかった。


さっき、黒川先輩に抱きつかれたからだ…………





みるみるうちに、顔が熱を持ってくる。


「ちょっとー!
顔真っ赤だよ⁉熱あるんじゃないの?」



また麻衣が、私のおでこを触る。





「いやいや、もう大丈夫だから……」



そう言いながら、私の頭の中には、ある一つの考えが浮かんでいた。











「ごめん麻衣。
今日は一緒にお弁当食べられない」


「ええー‼
なんでぇー!」



わざとらしい麻衣の叫び声を聞きながら、私の心臓はドクドクと音をたてていた。