かけがえのないものに、代わりなんてない

そんな時、突然先輩が、ガバッと跳ね起き、私のほうを向いた。



「あ、先輩…ご、ごめんなさい。
起こすつもりは――――」


ギュッと強い力で体を締め付けられて、言葉が詰まる。

あぁ、また私、先輩に抱き締められている。




そう思ったけど、私にはどうすることも出来なくて。
しばらくそのままにしていた。







どれくらいの時間、抱きしめられていただろう。


次は急に、私の肩に顔を埋めてきた。



「ひゃあ!先輩!!」


そんな私にはお構い無しで、一言、
「サキ……」と呟いた先輩は、ベットに倒れこんだ。





「な、なんだ……寝ぼけてたのか………」

自分を安心させるように独り言を言い、私は飛ぶようにベットに戻った。