かけがえのないものに、代わりなんてない

シャッという小気味良い音を響かせながらカーテンを開くと、人の姿が飛び込んでくる。

この人は……



「黒川せんぱ…い」



偶然!いや、むしろ運命とも取れるような展開に、少し戸惑う。



サボりかな……熱かな……

そんなことを考えていても、黒川先輩の目は閉じたまま。




怖いほど整った、美しい寝顔に惹き付けられたのか、私の足はぐんぐん前に進む。



ベットの横で足を止め、先輩をまじまじと見つめる。


長いまつげ。
高い鼻。
キュッと結ばれた、ほんのり赤色の唇。


この人が女なら、絶対メイクは必要ないだろう。

鼻だけでももらおうかしら。本気でそんなことを思ってみる。