君とゆっくりベッドで映画を観たり、じゃれたりして時間を過ごした。君と過ごす時間はとても穏やかだった。同じ空間にいるのに理由をつけてはあれこれと君にくっついて。

 「ひな、おいで。」

 君は幸せそうに微笑む。俺は君を抱き締めながら言う。

 「ひなが大好き。」

 君が、幸福にいられますように。祈りながら何度も繰り返す。

 「私、幸せなんだと思う。色々あって、本当に辛くて、死ぬことばかり考えていたけど望さんにこんなに愛されて、幸せなんだと思うの。」

 「じゃあ、ずっと幸せでいさせてあげる。ずっと愛してあげる。」

 「嬉しい。」

 無邪気に微笑む君にたまらなくなって、俺は勇気を出して、君に言った。

 「ひな、本当は明日驚かせようと思ってたんだけど、俺と結婚して下さい。」

 君は驚いて言葉を失う。

 「残りの人生をひなと過ごしたい。ひなを俺に下さい。」

 「まだ、私をよく知らないでしょう?」

 「知ってる。ひなが、傷付いてる事。可愛いって事。優しい良い子だって事。俺を愛してくれてる事。全部知ってる。」

 「でもっ。」

 「俺はひながいい。明日、指輪を贈ろうって思ってた。」

 「だから表参道?」

 「うん、そうだよ。一緒に選びたくて。」

 君は何とも言えない表情で俺を見つめる。ああ、早急すぎたかな。君に嫌われてしまったかな。色々な心配が頭を巡る。

 「はい。」

 「えっ?」

 「返事…したの。」

 君は顔を真っ赤にして、俯く。

 「ひな…。」

 喜びがジワジワと胸の底から沸き上がってくる。君が俺を受け入れてくれたのがとても嬉しくて。

 「こんなプロポーズでごめん。もっとちゃんとしないといけないとは思ったけど、我慢出来なくて。」

 「嬉しい…。一番嬉しい、本気のプロポーズだよ?」

 君に優しくキスを繰り返す。

 「ひな…、俺のひな、俺だけのひな。」

 何度も何度も君を抱き締めて、見つめあって。君は嬉しそうに照れながら笑う。俺達は世界で一番幸せなんだって、そう思った。