ランチを終えて、タクシーで家まで帰る。家までがとても待ち遠しい。君の手を握ると、君は俺の肩に頭をもたれる。とてもとても君が愛しくて、君の唇をそっと撫でる。君は苦しそうな顔をする。

 「ん?」

 知ってて君に意地悪をする。タクシーを降りると君は少し怒って睨む。

 「ごめん、ひなが可愛くてついつい。」

 「もうっ!」

 でも君はそっと耳許でささやく。

 「駄目、我慢出来ない。」

 俺達は慌てて部屋へ戻る。扉を閉める間もなく君と抱き合う。

 「ひな、好きって言って?」

 「望さんが、好き。」

 「もう一度。」

 「好き。」

 たまらずキスをすると君は俺を情熱的に受け止める。君を抱き上げてベッドまで運んでまたキスをする。君に好かれるのって、とてもくすぐったくて、幸せを感じる。

 「ひなに好きって言われるのはもっと先だと思ってた。」

 「望さん、私から逃げなかった。私の苦しい気持ちを受け止めてくれた。」

 「ひなを知りたかったから。俺は、ひなが一番好きなんだよ。ひなが俺を一番好きじゃなくても、俺が一番好きならいい。だから、ひなを全部欲しいんだ。」

 君は恥ずかしそうに、俺の胸に顔を埋めてしまう。

 「ひな、お顔見せて?」

 「嫌。」

 「ひな、お願い。」

 「だって…、望さんがあんまり優しくて。人を好きになったりしないと思ってた。ずっと独りぼっちなんだって。それで良いって思ったの。」

 「優しいのはひなの方だ。ひなは、俺の事ばかり。ひなは奇跡みたいだ。」

 君は優しく俺にキスをする。

 「今の私には望さんだけ。」

 君の言葉は簡単に俺を感動させる。そしてきっと、本当にそうなんだろう。

 「俺も、ひなだけ。」

 俺達はそのまま自然に身体を合わせた。