金曜の夜、仕事もそこそこに俺は荷物を持って君の家へ向かう。途中、ケーキやチーズ、ワインを買ったりするのも楽しくて。タクシーに乗って君のマンションの前で降りて、インターホンを鳴らす。

 『はい。』

 「望です。」

 『はーい、どうぞ。』

 オートロックが解錠されて、エレベーターを呼ぶ。君の部屋まで待ちきれない。エレベーターを降りると君はドアを開けて待っていた。

 「ただいま。」

 思いきって言うと君は微笑んでくれる。

 「お帰りなさい。」

 「これ、お土産だよ。」

 買ってきたお土産を受け取りながら、君は俺に抱きつく。部屋からは良い匂いがする。

 「ありがとう。ご飯、出来てるよ?」

 「ひな…。」

 君は俺の手を引いてダイニングまで連れていってくれる。テーブルの上には美味しそうな煮込み料理や、パンがあった。

 「鴨のポトフだよ?美味しいよ?」

 「美味しそうだね。ひな、俺の為に作ってくれたの?」

 「うん、口に合うといいな。」

 君が作るものなら何でも美味しいのに。

 「ひな、先に抱き締めさせて?」

 君を胸に抱きながら、頭を優しく撫でる。君と家族になれたらいいのに。俺の奥さんになってくれたらいいのに。俺は、君との幸せな家庭が欲しくて切なくなる。

 「望さん?」

 君はじっと俺を見つめる。

 「ひな、逢いたかった。」

 「私も。」

 少し恥ずかしそうに言う君はとても愛らしい。唇を重ねて、俺は君を味わう。

 「お食事冷めちゃうよ?続きはお風呂の後に沢山して?」

 「うん、分かった。後で沢山抱くよ。」

 君はワインをグラスに注いでくれる。

 「ガーリックトースト、足りなければ焼くから遠慮しないで食べてね?」

 「うん、ありがとう。」

 椅子に座って二人で乾杯をする。

 「冷えてて美味しいな。」

 「ふふっ、いいでしょ?」

 ガーリックトーストも鴨もとても美味しくて、ついつい進んでしまう。君は嬉しそうに俺の為にお代わりをくれる。

 「ひな、料理が上手だね。」

 「そう?望さんが喜んでくれるかなって。」

 「しかもヘルシーでさ。野菜たっぷり。」

 「ダイエットしてるから。」

 「ひなはその位でちょうど良いよ。」

 「キープも大変なのよ?」

 二人でクスクス笑う。

 「望さん、お風呂沸いてるのよ。入ってきたら?」

 「ひな、一緒に入ろう。」

 「望さんて、やらし…。」

 食器を二人で片付ける。並んで食器を洗うのも、何をするのも幸せだと思う。

 「手伝って貰えるの、助かる。」

 君は手を拭きながら言う。

 「お風呂入ろう?」

 「うん、入ろう。」

 二人で浴室の前でお互いの服を脱がせる。君の匂いを嗅ぐだけでクラクラする。甘い、良い匂い。俺達は絡み合いながら浴室へ入った。