ランチにはまだ早い11:30。俺達は中華料理を選んだ。店はまだ空いていて、個室テーブルに通される。君の隣に座って微笑む。

 「ゆっくりできるね。」

 「うん、ゆっくりひなを見ていられる。」

 「緊張するよ。」

 君の手を掴んでピアスを握らせる。

 「えっ?これは?」

 「俺がひなに選んだの。」

 「開けていい?」

 君は丁寧に包みを開いて箱を開ける。

 「わあ、これ…。」

 「ひなに似合うと思って。」

 君は目を丸くして驚く。君の可愛い表情は嘘が無くて、とても可愛い。君はそっと付けていたピアスを外す。そして俺を見てモジモジとする。

 「お願い…、付けて?」

 俺は優しい気持ちで君の耳にピアスを付けてやる。

 「似合う?」

 君の耳にダイヤが光る。

 「うん、とても似合う。」

 君は嬉しそうにニコニコしながら、俺に抱きつく。

 「嬉しい!望さんがくれたの!大切にするね!」

 「ひなが喜んでくれて良かった。」

 君は幸せそうで。買ってあげて良かった。そう思わせるのに充分だった。

 「ほら、お店の人が笑ってるよ。」

 「だって…。」

 君の素直な反応は、周囲の人を驚かせるけれど、嫌味が無くて。だから君は特別なんだろう。

 「これ付けてると、元気になるよ。望さんが側に一緒に居てくれるよ。」

 なんて可愛い事を言うのかと思う。君を座らせながら、本当はとても嬉しくて滅茶苦茶に抱き締めてやりたくなる。

 「ひな、ご飯食べよう。」

 「はーい。」

 君はそのピアスを触りながら、すました顔をして座り直す。さっきまで子供の様にはしゃいでいたくせに。

 「幸せ…。」

 小さく呟く君は本当に幸せそうだった。