真夜中に目を覚ますと、君が見当たらなかった。リビングの窓が開いている。君は夜風に吹かれながら外を眺めていて。

 「ひな。」

 見たことの無い君だった。独りぼっちで夜の底に沈んでる。孤独で近寄りがたい。でも、俺は君を独りぼっちにしたくなかったから。

 「ひな。おいで。」

 手を差し出すと君は振り向いて、俺の手を取る。そのまま君を引っ張って抱き締める。

 「俺の側においで。」

 「うん。」

 君は独りで消えてしまいそう。口に出せずに君を抱く腕に力が入る。

 「望さん?」

 「ごめん、強く抱きすぎた。」

 「ううん、嬉しいよ。望さんとこうなれたのも全部。」

 君は俺の髪を優しくかきあげる。そのひたむきな眼差し。君の心が欲しい。

 「ひな、眠ろう。抱き合って、仲良く眠ろう。」

 「うん、抱っこして。」

 君の額にキスをして、俺達はベッドへ向かった。