「やっと新しい生活が始まるんだ……」

すみれはそう呟き、かばんの中からアルバムを取り出す。両親が無理やり持たせたものだ。

すみれはその中から一枚の写真を取り出す。金髪に染めた男にしては長い髪の毛に、ジャラジャラとつけられたピアスやネックレス。すみれはその写真を近くにあるゴミ箱に捨て、歩き始めた。



話はすみれが大学生の頃に遡る。

すみれは語学に興味があり、スペイン語と英語、そして中国語の講義を受けることになった。

基本の挨拶や文法、長文などレベルはどんどん上がっていく。周りの人の中には、「こんなに難しいなんて聞いていない!」と言う人もいたが、すみれは楽しいと思いながら授業を受けていた。

「う〜ん……。これってどういう意味の単語だったかなぁ……」

図書室で一緒に勉強している友達が頭を抱える。すみれはノートを覗き込み、言った。

「よかったら教えましょうか?別にあんたのためじゃなくて、私のためね!私も勉強になるから教えるのよ!」