「えへへ……」

キロはゆっくりとすみれを離す。すみれは顔を手で覆い隠した。顔は真っ赤で、心臓がバクバク音を立てている。うるさい!とすみれは自分に言いたくなった。

「Adelante(行こっか)」

キロが言い、二人は歩き出す。チリを案内するよ、とキロは言った。こうして二人のデートが始まる。



チリの首都・サンティアゴは、南米有数の世界都市だ。街には高層ビルが立ち並び、街からはアンデス山脈の山々を見ることができる。アンデス山脈とビル群のコラボレーションが美しい街だ。

すみれが最初にキロに案内されたのは、メトロポリタン大聖堂。サンティアゴの中心街に位置するアルマス広場の正面にある。

「国民の七十%がカトリックのチリの教会総本山なんだ」

キロに説明をされながらすみれは中に入る。中は広く、何人もの人が中にいた。

「わあ……」

内部の装飾も緻密に作られていて、とても美しい。すみれはその美しさに言葉を失った。