「だから…、今度はちゃんと頼みに来てくださいね。」

温かい表情だった。
ショックを受けていた気持ちが溶かされるような…


それから、"おすすめはチーズケーキなんですよ"とか
"店長の作るコーヒーがおいしくて…"なんて楽しそうに話している。

何も聞いてこない辺りが優しいな、と思った。


わざとこういう話しをしているなとも思った。
まさか、見ず知らずの店員さんに慰められるなんて思わなくて驚いてばっか。


そうだな…カフェにでも行ってアイツの想う気持ちなんてすぐ忘れよう。

きっと、アイツのことを思い出にするには時間がかかるだろう。でも今は、スイーツのことで頭いっぱいにしよう。



そして、わたしは微笑んでアイツへの想いに背を向けーー





(さよなら、わたしの初恋。)




『じゃあ、あなたの作るコーヒーが飲みたいです。』






いつか…わたしの初恋が思い出になるようにーー


                       end.