月は夜に恋をした

はははっ、と乾いた笑いが出た。


「わかった。…でも私、待ってるから」


夏苗の横顔が、夕日に照らされていた。



そのあとすぐにバスがきて、夏苗は乗り込んでいった。私もおんなじバスだけど、なんとなく、次のバスで帰ることにした。



本当に、卑怯だ。私。


結局逃げるんだ。


友達に向き合えなくて。自分にすら向き合えない。話したくないなんて、私の勝手なわがまま。


だけど、どうしても、距離を置かれないかとかそういうことを考えてしまうと、苦しくて。



弱い自分が、ここにいる。こんな時、いっくんがいてくれたら。そんなどこかで人に頼っている自分が、ここにいた。