月は夜に恋をした

その本は参考書コーナーの隣、社会、と書かれた棚に、入り切らずに飛び出していた。


「もー、誰だろ、無理矢理入れたの。全然入ってないし」


本を開くと、2年前の記事のページみたいだった。ペラペラとめくっていくと、見覚えのある写真が載っていた。


本の紙が微かに震えている。



カタカタと自分の手が震えているのが分かった。


背中がぞわぞわする。


見てはいけない、頭の中で警報がなっている。




それでも、ゆっくりとページをめくった。